コラム

柔道整復師、看護師と理学、作業の違いについて

スポーツトレーナーと理学療法士の違いは?~

最近ではスポーツ分野で活躍する理学療法士が増えてきています。

身体の構造・機能についての高度な知識や、疾患の改善に対する施術技術は、スポーツ選手にとってパフォーマンスの改善や怪我の治療に対し大きな影響をもたらします。トップレベルの選手やチームには専属で理学療法士がつき、日々身体機能の管理を任せています。

一方でスポーツトレーナーも似た領域で活躍します。 スポーツ選手の最高のコンディションをキープするために身体の調子を整えるためのアドバイスやサポートを行い、怪我の手当てや復帰の支援等、スポーツトレーナー内でも役割は分かれますが一見理学療法士と同様のことをしているように思えます。

 

では何が違うのか。それは理学療法士が国家資格が必要な専門職だということです。

スポーツトレーナーも専門職であることに変わりはありませんが、運動療法や物理療法といった医療領域からのアプローチは国家資格が必要であり、民間資格のみ、または資格の必要ないスポーツトレーナーとは対応可能な幅が異なってきます。

どちらかが劣っているというわけではありませんが、スポーツトレーナーの中でもメディカルトレーナーやフィジカルトレーナーは理学療法士の資格を取得している方が担当するケースも多いようです。

 

作業療法士も同様に国家資格であり、こちらはどちらかというと運動をリハビリに役立てる領域です。 そのためどういった動作が何の改善に役立つのか、という観点からスポーツ選手を手助けできるため、理学療法士とはまた違った役割を持っています。

作業療法実習風景

○柔道整復師と理学・作業療法士の違いは?

柔道整復師と理学・作業療法士は非常に似ている仕事です。

どちらも専門学校等で3年以上勉強し、国家資格を取得する必要があります。

また、どちらの仕事も毎年志望者が増加傾向にあります。

しかしそれぞれが全く異なる国家資格のため、一回で取得できるのは片方のみとなります。

 

両資格異なるものではありますが、柔道整復師は骨折やねん挫などの外傷を治療する仕事。理学療法士は病気や事故で残る障害を運動・物理療法で基礎動作が行えるまで回復させる仕事。作業療法士は運動等を通して日常生活の動作に支障ないところまで回復させる仕事です。

いずれも身体機能の治療・改善という意味で似ていますが、柔道整復師は施術を自身の判断で行える点が大きく異なります。

実は理学・作業療法士は医師の指示を受けないと患者へ施術を行うことができません。また前者は開業権がありますが、理学・作業療法士の資格では独立開業することができません。

 

そうなると一見柔道整復師の方が理学・作業療法士より優れているように思えますが、柔道整復師は外傷への応急処置という意味合いが強く、病気等の後遺症への働きかけは理学・作業療法士にしかできません。また、理学・作業療法士は医師、看護師とチームでアプローチするため、必要に応じてMRIなどの画像を用いながらより安全な治療をしていきます。

日常生活を滞りなく送るためにより広い範囲に対しリハビリを行うのが理学療法士と作業療法士なので、似ているようで実際は大きく異なるのがこの比較の職業です。

 

 

○看護師と理学・作業療法士の違いは?

看護師は医療領域の有名な職業で、昔から今でも非常に人気の高い仕事です。

病院や診療所で医師の指示に従って患者の快復を心身共にサポートします。

入院中の患者さんへの対応も必要なため、基本的に24時間体制で夜勤なども発生します。 一方で病院等で働く理学・作業療法士は決められたリハビリテーションの時間に施術を行うケースが多いです。

前述の通り怪我や病気で身体機能に障害がある方の機能快復を目指し、医師と相談しながら治療法の決定・実行をします。

 

両者ともに国家資格が必要な仕事で患者のサポート役として広い範囲から治療でアプローチすることが共通する点ですが、リハビリテーションに留まるか否かで役割が違います。

医師の補助がメインなのが看護師、機能の改善を目指しながら患者の状態を見極め、心に寄り添い心身共に改善を目指すのが理学・作業療法士と言えるでしょうか。

どちらも患者にとって重要な心の支えとなる仕事のため、どういった関わり方をしたいかを考えてどちらかを選ぶといいでしょう。

 

監修:作業療法学科教員 中村 晃一

理学療法学科教員 成塚 修一




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